リヨンから少し遠出して行ける観光地の一つに、オートリーヴ (Hauterives) の「シュヴァルの理想宮」がある。
シュヴァルの理想宮って何?
フランス語でシュヴァルは馬のこと。
でもここでは、ジョゼフ・フェルディナン・シュヴァル (Joseph Ferdinand Cheval) さんという郵便配達人の名前。
このシュヴァルさん、世界のあちこちを旅してみたかったけれど、そういうわけにも行かない身だった。
趣味は空想旅行。絵葉書の写真などを見ながら、世界の様々な建物に思いをはせる日々を送っていた。
ある日徒歩での配達中に石につまずいて転んだシュヴァルさん、その石から何かをひらめいた。
その後、配達中に面白い形の石を集めては庭に積んでいく生活が始まった。
こうして1879年から33年かけて、文字通り「石造り」のこの理想宮を一人で建立。シャルトルの「ピカシェットの家」にも似た情熱が感じられる。ちなみに年代はピカシェットの家のほうが後ね。
- ピカシェットの家について → Chartres (シャルトル)~青いステンドグラスのカテドラル
近隣住民には「あの人、せっせと石積んで何かやってるけど大丈夫…?」という目で注目されていた模様。
でもこの理想宮はその後、別の意味で注目を浴びるようになる。
シュルレアリスムのアンドレ・ブルトンに詩のネタにされるくらい大絶賛され、Art Brut の幻術作品として評価されて行く。
シュヴァルの理想宮に公共交通機関で行く方法
リヨンから車で行くのがいちばん手っ取り早いのよね。でも「車でない人は?」と情報収集している人もいるはず。そこで、今日はリヨンから電車とバスを乗り継いで行くプランの一例をご紹介。
リヨンのパールデュー駅から12時20分のアヴィニョン行きのTERに乗る。50分ほど電車に揺られ St. Vallier sur Rhône という駅で下車です。
ここから3番バス(Le Grand Serre行き)に乗って40分。
駅はいたって地味で駅前広場にバスターミナルはない。道路のほうに下りてみるとバス停が見つかる。オートリ-ヴ方向(Le Grand Serre行き)のバス停は道路の向かい側。
13時30分頃のバスに乗り、14時過ぎに到着です。
このバス、日曜日は運休しています(理想宮は営業しています。平日に行くか、日曜日の場合はタクシーやUberなどを利用しよう。
40分くらいで到着する広場のようなところがHauterivesのバス停。不安な場合はバスの車内で切符を買うときに「着いたら教えてください」と運転手に頼んでおくと安心かも。
バスを下りたら、あちこちに理想宮行きの表示が出ているので追っていけば到着です。
理想宮と言えども、建物のサイズは家屋サイズ。よほど細部を分析しながら見たりしない限りは1時間とか1時間半もあれば満足できるかな?でも印象的だよ!。
そのあと、私たちは近くの美術館を訪れましたが、シュヴァルさんのお墓を見に行っても良いかも。理想宮を小さくしたようなお墓で、徒歩15分くらい。
帰りのバスは到着時と同じ広場にやってくる。参考までに、このとき乗ったバスは17時15分。18時30分のMacon行きのTERに乗り継いだ。Lyon Jean Macé駅に19時30分頃到着だったかな?
Palais Idéal du Facteur Cheval
8 Rue du Palais Idéal, 26390 HauterivesFacteur Cheval のお墓がある墓地
59 L’Ancienne Église, 26390 Hauterives
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映画: シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢(原題: L’Incroyable Histoire du facteur Cheval)
理想宮へ行く予定の人は、このシュヴァルさんについての映画「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢(原題: L’Incroyable Histoire du facteur Cheval)」が必見です。私が上記にさらっと数行にまとめてしまった33年の中にもいろいろとドラマがある。シュヴァルさんの人生が興味深い。
映画としても構成に無駄が無く俳優の醸し出す雰囲気にも引き込まれた。途中から涙が止まらないよ~。
シュヴァルの理想宮に行ったことがない旦那もこの映画を見てぜひ行きたがっていたので、また行ってみようかな?
今度は車で行って、お墓まで見てきたいです。