10年前、パリで就職を果たし精神的、経済的に若干余裕が出てきたものの、まだまだ気は抜けない一人暮らしの節約生活をしていた。当時、今となっては懐かしい「Mixi」の日記のネタにしようと思って書き留めたまま10年間眠り続けていた原稿を見つけてしまったので、このたび引っ張り出してまとめ直してみました。10年前は↓こんな生活してこんなこと考えてたのか…。

海外生活の雑誌記事やSNSに投稿されたおしゃれっぽい海外生活ぶりを分析してみる。

たとえば、こういうありふれた一日があったとしよう (当時のもじゃもじゃうさぎの、実際のとある一日です)。

バージョンA

パリ16区のたいして素敵でもないワンルームに住む、若き日の独身もじゃもじゃうさぎの休日

日曜日寝坊して、昼頃だらだらと近所の営業終了間際の朝市に行った。面倒くさかったんだけど、冷蔵庫の中にねぎと生姜くらいしかなくてさすがに何か調達しないとひもじい思いをしそうな状態だったから、しぶしぶ朝市へ買出しに向かう。
せっかくがんばって朝市まで来たんだし、たまには魚でも食べようと思い、魚屋でいわしを選ぶ。いわしは安いからね。あと、卵もなくなりそうだったから卵と、閉店前で値下げされていた野菜を色々と購入。
午後はセーヌ川沿いを通るバスに乗って、日曜日にも営業している店が多いマレ地区へ。給料日前だし特に欲しいものもないから何も買わず、うろうろして疲れたらマックでコーヒーを飲んで一休み。
明日はまた月曜で仕事だから、守りに入って早々に帰宅し夕食の準備。レシピを見ながらいわしをたたきにする(←当時の料理レベル…)。サラダとご飯と味噌汁で、今夜はいわしのたたき定食。

この大して何事も起きていないもじゃもじゃうさぎの冴えない一日に関する日記をちょっといじってみる。

バージョンB

パリ16区在住OLもじゃもじゃうさぎの休日(←間違いではないんだけど、この書き方からイメージする姿と実際の姿はちょっと違う気がする。ていうか、もじゃもじゃうさぎってネーミングがおしゃれっぽくないんだけど)

日曜日の朝はのんびりブランチをとってから近所のマルシェへ。週末はマルシェならではのフレッシュな食材を使ったお料理を作るのがお楽しみ!
今日はサーディンをチョイス(←「鰯を選択」なんだけど、なぜかカタカナを多用)。ついでにビオ(←意識高そうな要素も追加)の野菜やフルーツもお買い上げ(←買った果物はバナナでも「フルーツ」とか書くと一気に女子力アップ)。
午後はバスからセーヌ川を眺めながら、おしゃれ発信地のマレ地区へ。ウィンドーショッピングでパリジェンヌの最新の着こなしを研究したあと、街角のカフェでほっと一息つく(←やっぱりここはファーストフードではなく、カフェよね?)。
明日から始まる一週間に備えてリラックスするため夕方は早めに帰宅して、ディナーの支度。
新しく手に入れたレシピを見ながら奮闘して、サーディンを使ったヘルシーな日曜ディナー。

横文字を多用して女子力や意識が高そうな用語を適当にちりばめるだけで、ほら、パリでおしゃれ生活(笑)を謳歌してるふうの痛い投稿の出来上がり!

あとは、↑こういうマルシェの野菜とか、いかにもパリって感じのカフェのインスタ映えを意識したイメージ写真なんかを添えて出来上がり!この写真だって、きれいに見える部分だけ切り抜いてあるし(笑)。さらに上を行くとカフェでの自撮り写真なんかも。

場合によっては、フランス人の友達なんかが登場し、名前まで披露。日本人の友達と会ったときにわざわざ「ひろみとディナー」とか書かないのに、登場人物が外人(←自分が外人なんだけど)の場合は、アメリとかセシルとかの名前が無駄に出てくる。まあ、日本人の友達だと特定されやすいし、本人に気を使って…というのもあるんだろうけどさ。

「仕事の後のアペリティフ♡」とか書いてると、読んでる方はリア充のアフターファイブを勝手に想像しちゃうけど、実際には、ビールと枝豆で「やってらんねーよなー」とか言ってたりするわけですよ。

Bを読んでAを想像しろとまでは言わないけど、海外在住者の痛い投稿(このサイトにもあるかも??)を見つけたら、元の状況とか投稿者のがんばりっぷり(?)をあれこれ妄想しながら読むと面白いかもね。