1. 家賃、不動産価格が安い
いきなり現実的な話です。パリ(といっても、メトロで行ける郊外ブローニュ)のアパートが手狭になってきたのと、健康に影響が出るほど公害レベルの問題が複数出てきたのとで引越しを検討したとき、もっと大きな部屋に引越そうと思うと家賃が「家賃ごときにこんなに払いたくないよね」というくらい高い、ましてや買うとなるとパリ市内は無理だろうね…と思ったのが直接のきっかけでした。
パリから電車で数十分の中途半端な郊外に住むんだったら、地方都市の真ん中に住んだ方が良いと判断したわけです。
リヨンはフランスの地方都市の中ではいちばん不動産価格が高いので、「リヨンが良い」というよりは、ずば抜けて家賃が高いパリ側の問題なんですけどね。
「リヨンとパリの物価ってどう違うの?」と思った人への参考記事はこちら。
2. 移動時間が短い
リヨンはフランスの主要都市ではありますがコンパクトにまとまった都市で、メトロとバスとトラムとの交通網が要領良く町をめぐっています。当初「待ち合わせが町の反対側だから早く出なきゃ」といって余裕を見て家を出たら無駄に早く着いたりすることがよくありました。町の貸自転車システムをフランスで最初に取り入れた町らしく自転車レーンもよく整備されています。パリの Vélib’ はリヨンの Vélo’v をまねしたものなんですよ。
余談ですが、リヨンの交通機関はメトロもバス(一部トロリーバスです)も静かに走ります。なので町の中がけっこう静かです。引越し後にパリへ行ったとき、パリがすごくうるさく感じました。
3. 行楽に便利
これも私たちの移住の大きな理由の一つです。私たちは二人ともパリの中心部で働いていたので、週末はわざわざメトロで人の多いパリ市内へ行く気がしない。なので郊外の田園で気分転換・・・となるのですが、高速に乗るために通ることになるPeripheriqueという外環道や高速周辺が慢性的に渋滞でパリから出るだけで一苦労。かといって、ただ週末出かけるだけなのに何週間も前からTGVを予約したりするのも癪です。TGVの駅に行くだけでも40分とかかかるし。こうしてパリに閉じ込められた気分になっていったのでした。
リヨンからはアルプスの山へも南仏方面へもアクセスしやすいです。マルセイユまでだって車で3時間。週末に自然に囲まれてだらだらするだけで気分転換になるので、今や病みつきです。渋滞は無いわけではないけれど、パリと比べると圧倒的に少ないです。
移住後いちばんライフスタイルがかわったのは、この点だと言えるでしょう。実際PCの前で過ごす週末が減りました。ブログの更新が減ったのもこれと関係があるかも?
4. 「フランス料理」がおいしい
リヨンはグルメの町です。リヨン独自の物としては「ブション・リヨネ」と呼ばれる、家庭料理的な郷土料理を提供する飲食店が有名ですが、フランス料理全般でも、有名な高級レストランとかではない近所の小さなレストランでも全体的に質が高いです。
さて、逆にパリが恋しくなるときというのも一応あります。どんな時かな?
1. 日本食はじめ異国の料理のレストランの豊富さとレベル
日本食については本当にパリが恋しくなります。リヨンにもいくつかはありますが選択肢が少ない。自分でリヨンに日本食レストランを5-6店開ければいいのですが・・・いろんな意味で無理です。
2. おかいもの
リヨンもチェーン店でない個性的な小さなお店がたくさんあって面白いのですが、それでも世界的なモードの町には負けます。
3. スペクタクルの豊富さ
コンサートとかお芝居の類ですね。リヨンにも小さな劇場などは結構あるのですが、有名どころや外国人アーティストとなるとパリのほうが圧倒的でしょう。
こうして改めて見てみると、パリの魅力はやはり娯楽、消費生活 (特に嗜好品) といった非日常的な要素にあるんだな、と実感します。なのでこういう要素が日常生活に入り込んでいる人(たとえばモードやアート関係者とか、もしくはしょっちゅう遊んでいられる立場の人とか?)や、長くて数年など期間限定で暮らす人にはパリは楽しいと思います。
逆に、日常生活そのものの質の充実という観点ではリヨンは快適に暮らせる町なのではないでしょうか?(日本人としては雇用とか別の問題はありますが、それはまたの機会に・・・)。