というわけで、雪のおひさま高速を走ってたどり着いた場所は、オランジュ (Orange)です。
この町は、そんなに見どころがたくさんあるわけではないのですが、貴重な文化遺産があります。
ガロ・ローマ時代の劇場跡です。
リヨンからローヌ川に沿って南下すると、ローマ時代の遺跡が残っている所が多く、ローマ人が大河ローヌ川に沿って町を作ったんだなぁ、川っていうのは本当に文明の要なんだねぇ・・・ということが改めて実感できます。ちなみにガリアの首都はLugdunum、今のリヨンなんですけどね。ローマ人がオランジュに町を建設したのが、リヨンの7年くらい後、紀元前36年です。
さて、1世紀に建てられたオランジュの劇場跡は何が見どころなのかというと、舞台の後ろの壁が残っている点です。舞台の後ろの壁が残っているローマの劇場跡というのは、世界に3ヶ所、トルコとシリアと、ここオランジュだけなのだそうです。というわけで、もちろんユネスコの世界文化遺産になっています。
リヨンやヴィエンヌに残っている劇場の遺跡は、丘の上にある上に舞台の後ろの壁がないので客席から見ると目の前が開けて眺めが良いのですが、べつに眺めが良い劇場だったわけではなく、壁が失われているのです。
この壁、よく見ると四角い穴があちこちにあいていて、遠くから見ると焼いてる途中のホットケーキみたいです。これは16世紀頃にこの壁に寄りかかるようにして家が建てられ、劇場の敷地内がちょっとした村のようになっていた時期があり、壁に穴をあけて梁を入れていたためなのだそうです。そのあとフランス革命時には石壁の内部は牢獄として使用されました。
19世紀に修復工事が行われ、以降、現在に至るまでスペクタクルが開催されています。古代ローマ人も「え?まだ使ってんの?」とびっくりするだろうね。
舞台のそばを通り過ぎるときには、声を出したり手を叩いて音を出したりして、古代劇場の音響を地味に楽しんでみましょう。
本当はこのあと車でPont du Gardというこれまた立派な古代ローマの水道橋を見に行きたいところだったのですが、朝寝坊が災いして時間がなくなり、そのまま最終目的地まで高速を南下していきました。