3つ星レストランは本当に「そのために旅行する価値のある」店なのか?
(このページにいきなりたどり着いた人は、トロワグロでの食事の様子が前のページにあるので、良かったら見て来てね)
ミシュランの3つ星の定義は、”Une cuisine unique. Vaut le voyage !” 。
日本語だと一般的に「そのために旅行する価値のある料理」と訳されている。実際のところどうなのか検証してみよう。
芸術的なお料理はもちろん、個人的にそれ以上に印象的だったのがサービス。
2つ星レストランのサービスの質もレベルが高いと思うけど、今回はちょっと感動の域だったわ。
何を食べたかは全部即答できるほど覚えていなくても、サービスがどうだったかは割と鮮明に覚えてる。
絶妙なタイミングでさりげなく現れるサービス係
お客との基本的な距離感がちょうど良い。こういう店だから放置されている感じは当然無い。かといってそばでかしづかれている感じでもないのよね。
なのに絶妙なタイミングでスムーズにお料理が運ばれてきたり、お水やパンの追加に来たりする。
ひょっとしてテーブル上方にカメラでもついてる?
裏で誰かがモニターを見ながらホールスタッフのイヤホンに指示を出してるの?
「12番テーブル、そろそろパン勧めて!!」とか「5番テーブルの男性、何か用事ありそう」とかさ。
そんなことを疑ってしまうくらい、スタッフ間の連絡が行き届いている。
それぞれのお客の満足度マックスのために、みんなで臨機応変
たとえば、私たちはコースに各料理に合わせたワインテイスティング(Accord mets et vins)を付けるかどうかで迷っていた。
相方はもちろん興味津々だけど、さすがにこれ全部はやや多めな気がする。一方私は、このワイン全部は致死量(←比喩ではなく…)だから、明らかに豚に真珠だわ。
でも、せっかくだから一流シェフのお料理と一流ソムリエが選ぶワインのマリアージュを、グラス1杯分くらいは味わいたい。どのワインが良いのかな、と思って一流ソムリエのアドバイスを求めたところ、全く想定外の提案が!!
「ワインテイスティングを1人分だけつけて、どのワインも2人で8:2 とか9:1くらいに分けてお注ぎしましょうか?」
えっ?そこまでしてくれるの?でも、確かにこれで2人ともそれぞれにとっての適量でワインテイスティングができるね。
また、デザート2品にワインが1種類だったところ、旦那が1つ目のデザートでうっかりグラスを空けてしまった。
2つ目のデザートを運んできたスタッフに「もしかしてさっきのワインて次のデザートともセットでした?」と確認。
ところが、ほどなくしてソムリエがさりげなく通りかかり、ごく自然な様子で同じワインを少しだけ注いで去っていった。
まるで、もともとそういうサービスが予定されていたかのように…。あら、素敵♡
これは一例だけど、きめ細やかな気配りがさりげなくあちこちにちりばめられていた。
到着から翌日の出発までのすべてのサービスが完璧だった。
レストランもホテルも、それぞれのお客が到着から出発までそれぞれにとっての(だから皆に「同じ」サービスをすればよいわけではない)最高の時間を過ごせるように、スタッフが一丸となって対応していた。
子供時代と大人になってから、日本とフランスで2回もトロワグロに感動してしまったわ。
フランスで普段暮らしてるとひどいサービスにイライラすることも多いのになぜか世界中が想像する「おフランス」のキラキラしたイメージって、一部のこういうお店やホテルが牽引しているんだから、大したものだと思う。
他の3つ星レストランは行ったことが無いけれど、少なくともトロワグロは、そこで過ごす時間自体が「旅」に匹敵する刺激的な体験だった。
下手なサービス研修でああしろ、こうしろ、って説明されるより、実際にお客として極上のサービスを受けるほうが勉強になるんじゃないの?。あ、でも研修費用かかりすぎ?
おまけ:トロワグロの朝ごはん

トロワグロに宿泊したら、やはり朝ごはんまでぜひ楽しみたい。
ごく普通のレストランのブランチの相場から考えれば控えめなお値段でかなり満足度の高い朝食を楽しめるよ。
最後に、お客さんの服装がみんな思ったよりカジュアルな印象だった。
田園の真ん中にあるトロワグロだから?最近の傾向(「IT長者の粋」の影響?)?
サイトを見ると、ドレスコードは男性は長ズボンでよろしく…とだけ書いてある。
そういえばどこかのセレブ一家(?)が一族総出で誕生日パーティーを開いていた。
トロワグロであの人数で宿泊付きパーティーって、すごい…。富豪の節目の年の誕生日かなぁ?いったいどこの誰だったんだろう?
Troisgros
728 Route de Villerest 42155 Ouches