世界各地にあるという「愛の南京錠」スポット。パリでは、この Pont des Arts (ポン・デザール) がそのスポットとして有名です。といってもここ数年の話なのですが・・・。

カップルが自分たちの名前などを書き込んだ南京錠を金網に施錠してカギを川に投下するという、非常にわかりやすい愛の儀式が行われるわけです。もじゃもじゃうさぎがこの写真を撮りに行ったときも、儀式の真っ最中の微笑ましいカップルがいました。友人のフランス人カップルにも、プロポーズはここだったというカップルがいます。

ここに施錠されていた大量の南京錠が消えるという珍事(?)もあったようですが、今はまたびっしりと世界各国のカップルの「愛の南京錠」が並んでいます。ちなみに「愛の南京錠」のことをフランス語ではCadenas d’Amourといいます。

ロマンチックなイメージで世界一人気の都市のひとつであるパリに世界中からカップルが新婚旅行などに来てこの橋で幸せいっぱいに南京錠を施錠している様を勝手に想像するとこちらも幸せな気分になりますし、南京錠を眺めながら「このアンナとスコットは今も仲むつまじく暮らしていると良いな」などとどこかの見知らぬカップルの今日の幸せを願いたくなってしまいます。
たいていは油性ペンなどで手書きで書かれているのですが、刻印するくらいの意気込みが感じられると、ますます気分が盛り上がります。

まぁ、ここで他人の南京錠を眺めるという行為は、神社で他人の絵馬を眺めるという行為にも似ているかもしれませんね。だんだんポン・デザールには施錠する場所がなくなってきたためか、ほかの橋にも進出しているようです。

ただし、小さい南京錠でも無数に橋の欄干に取り付けられると欄干に大変な負担がかかっており崩壊する恐れがあるので南京錠を撤去するべきだとの声も出ていることも事実です。たしかにせっかく「ずっと一緒にいようね!」とか言いながら取り付けた自分たちの南京錠が橋の欄干とともにセーヌへ沈むとか、ただ落ちるだけならまだしも下を通ったディナークルーズ船の乗客の頭部を直撃するとか、ちょっと想像したくないですよね。

このポン・デザールですが、橋自体も歩行者専用の美しい橋で、また夕暮れ時の逆光のシルエットなども美しいので、お隣のポン・ヌフやシテ島の先端部分から眺めるのもなかなかおすすめです。
ちなみにこちらの写真は2007年のもので、まだ南京錠がありません。橋のビジュアル的には、南京錠がないほうが美しいかな・・・?

追記 2014年6月10日
昨日ついに欄干の一部が崩壊してしまったようですね。負傷者がいなかったのが不幸中の幸いです。
パリのロマンチックなイメージと安全との間でパリ市の対策もどうなることでしょう?

前の記事【美しい村】Pérouges (ペルージュ)~リヨンから日帰りで行く美しい村
次の記事Mer de Glace – Chamonix ~シャモニから氷河見学