少し前からリヨンの中心部を歩いていると、あちこちで少しずつ「光の祭典 (Fête des Lumières)」の準備が始まっています。設置準備をしていたり「お試し点灯」をしていたり・・・。
そんなわけで、昨日も夕方家の近くを歩いていたらフライングでこんなものを見ることができました。お試し点灯なので、本番はもっと華やかになるはずです。
ところで世界的に有名になった地方都市リヨンのお祭りですが、ここまで大規模になったのはこの四半世紀くらいのことで、子供時代リヨンで育った相方の話では、当時はこういう大きな祭りではなく単にLes Illuminations といって、12月8日の夜にみんなで窓辺にろうそくを大量に点灯させ、「きれいだねぇ」なんて言いながら町をそぞろ歩く行事だったのだそうです。そういえば、リヨンっ子の故Dさん(カトリック信者)も生前「本当はFête des LumièresではなくてLes Illuminationsというのよ」なんて言っていました。
その昔中世に聖母マリアのおかげでペストから町が救われたということでマリア信仰の強いリヨンで、1852年、フルヴィエールの丘の教会の鐘楼を修復した際にその上に黄金に輝くマリア像 (写真の左のほうに映っているもの。クリックで拡大したほうが見やすいです)を設置 することになった。もともとそれは、聖母マリアの誕生日の9月8日にお披露目となる予定だったのが、丘のふもとのソーヌ川の氾濫で3か月後の12月8日の「無原罪の御宿り」という、聖母マリアが母親の胎内に宿ったとされる日に延期になった。
ところがみんなが楽しみにしていたその日も暴風雨で、また延期されそうになってしまったのだが、夜になって嵐が止んだので奇跡の (!?) お披露目となり、予定していた花火は中止になったものの一晩中ろうそくをともしてお祭りになった・・・とか、だいたいそんなようなストーリーが、Les Illuminationsの背景にはあります。
余談ですが、フルヴィエールに建っている豪華なノートルダム寺院はその後普仏戦争のときに建てられたもので、「聖母マリアのおかげでリヨンが戦災を免れた」ということのようなので、中世も産業革命後も変わらぬリヨン人の伝統あるマリア信仰には目を見張るものがあります。
というわけで、そんな宗教行事がいつしか巨大な電飾祭りになったのが光の祭典なのです。
2014年の光の祭典は明日12月5日から8日までの4日間の開催となりますが、「本物」は最終日8日の月曜日ですよ! ここからクリスマスに向って華やかなシーズンになります。