FBに以前書きましたが、車の事故にあいました。

その経験と昔フランスの保険の事故処理をしていた経験 (遠い記憶になりつつありますが) とを織り交ぜて、フランスで車の事故にあった際の対応方法をまとめてみました。

こんな状況で事故に遭った

フランスのバカンス時期が本格的に始まる7月最後の金曜日。仕事を終えた6時半過ぎ、私たちは週末を義母と過ごそうとサヴォワに向けて車に乗り込んだ。義母に「今でたよ」とメッセージを送信。こうして車は出発して、ゆっくりと進んでいく。

この辺りは、道路の大部分が碁盤の目のように区画整備されているが住宅地で一方通行が多い。路駐の列もあるので交差点の見通しはあまりよくない。とはいえ商店街や大通りも近いので、この時間帯はそこそこ通行人も車もいる通りとも言える。

そういえば家を出るときにごみ置き場に寄ったら、ぬいぐるみを無造作にごみ箱に突っ込んで処分している最中の住人に会ったのを思い出した。

: ぬいぐるみをあんな雑に捨てるなんて、フランス人てちょっと野蛮じゃない?なんかもっとお清めとかさぁ…

相方: は?ぬいぐるみを捨てるのに君たち日本人はまた何か儀式とかするんかい?そっちのほうが未開じゃん笑

みたいな会話をしてたっけ。

一方通行の丁字路で…

こうして、最初の丁字路にさしかかったときに事が起きた(ぬいぐるみの祟りか?)。

この交差点、私たちはTの下の方から一方通行を通ってきて、つきあたりは左から右への一方通行なので右折しかできない。

交差点に入る前に一時停止。確認してから交差点に入り右折…しようとしたら、車が来るはずのない右側からものすごいスピードで一台の車がバックで突進してくるのが見えた。

あわてて運転手に注意を促す。でも運転手は右折の真っ最中で注意は左側に行ってるときね(路駐のためにバックする人とかはいるかもしれないけど、その場合は普通はそんな高速で交差点のまん中まで突進してこないし)。一応止まったけど、もちろん避けるのには間に合わない。

高速バックで一方通行を逆走して突進してきた車は最後にさらに一段加速して私たちの車に右から左に突っ込んできた。バンッ!!

※☆■▽※◇▲!!(←聞き取り不能)と、すごい叫び声とともに車を出る相方。衝突にも度肝を抜かれたけど、相方の叫び声にもびっくりしたわ…。私も車から出て横目で車の前の部分がごっそり消えているの(上の写真の状態)を確認してから、相手の車の方を見る。

相手、逃走を図る

相手(腰パンの若者ったので、「腰パン」と命名しておこう)も一度止まって車から出てきたんだけど、また乗って逃げやがった。腰パン、当て逃げかい。あ、そうだ、これやらなきゃ…。腰パンの車が出発する前にとっさにナンバープレートを写真に収める。追いかけて通りに消えていった相方。

交差点の建物の上階の住人も相手の登録番号を見ていて教えてくれた。そして、通りすがりのバイクの人も「腰パン」の車を追跡。皆ありがとう…。

ここで、別の人に声を掛けられる。「お取込み中に申し訳ないんだけど、この車って移動できますか?」

あ、そういえば一方通行の交差点の真ん中だったわね。ちょっとした渋滞になっちゃってる。ごめんごめん。

使うかわからないけど、念のため現場の写真を撮ってから外れた部分を交差点の端に移動させる。ジャージ姿の女性がどこかから現れ、慣れた様子で交通整理をしてる。誰だろう?

相方も戻ってきて車を邪魔にならない所まで移動。一応まだ動くんだ?まぁ、この状態じゃ「運行」はできないけどね…。

では、ここまでの内容からいくつか実用情報いってみましょう。

当て逃げされた。さて、どうする?

  1. まずは相手の登録番号を記録。登録番号がわかれば警察でも保険会社でも相手を特定できます。
  2. それから、証人になってくれる目撃者を確保。目撃者と言っても、同乗者はだめです。第3者でないといけません。ひとまず最低限名前と電話番号だけ聞いておけば、あとは保険会社が直接連絡して証言を依頼してくれます。証人は、証言の書面を本人確認書類のコピーと一緒に保険会社に提出することになります。
  3. 警察に当て逃げ(Délit de fuite)で届け出。届け出内容の詳細を記載したProcès Verbal を入手します。

これを添えて、保険会社に事故報告を送ります。

事故報告ってどう書くの?

事故報告に必ず書くことは、名前や契約番号や車の登録番号などの基本情報のほか、①日時 ②場所 ③何が起きたか ④損害の内容 ⑤サインの 5点です。

フランス語できちんとした手紙なんて無理、という場合も箇条書きでこの5点が書いてあれば大丈夫でしょう(Constat amiableという所定の用紙は、通常は相手がいるときに使いますが、この用紙に自分側の情報のみ書いて、事故報告書として使用することも一応できます。この用紙については別の記事で説明します)。

保険の手続き上、証人がいないと自損事故と同じような扱いになってしまうので、証人はとても大事です。

とはいっても、いざとなると気が動転して頭から抜けてしまうんですよね…。私も知識としてはよく知ってたはずなのに、相手の登録番号を記録するのが精いっぱいでちょっと頭から抜けていました。むこうから申し出てくれて、はっと思い出した…。

もし通行人としてこういう事故を目撃したら、こちらから申し出てあげたほうが良いかもね。当事者、証人の確保まで気が回っていないかも。

ドライブレコーダーは、当て逃げの証言代わりに使えるのか?

私が保険の仕事をしていた頃は使えなかった(搭載している人も少なかったけど)と記憶しているけれど、最近はドライブレコーダーを使う人も増えてきて(日本と比べると全然普及していない)ルールが変わったりしたのかなと思って保険会社に聞いてみました。

やはり今もドライブレコーダーは当て逃げ等の証言の代用としては使えないので、証人は必要との説明を受けました。

ただ、案件によっては裁判になった場合などで使うケースもあるので、まったく無意味とも言いきれないとのこと。

このあと残された課題は?

車を何とか移動させたけど、まだまだこんな↓課題が山積みです。

  • 車をなんとかしないと…
  • 各種手続き
  • 自分たちの週末の予定はどうなる?

このあと事態が少し変わります。続きは次の記事をお楽しみに。

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