Contrebasse
左がフレンチボウ、右がジャーマンボウ

少し前にフリブールでオーケストラのコンサートを見に行った。

じつは私は中高生時代に部活のオーケストラでコントラバスを弾いていた。

10代の頃に経験したものの影響力というのはなかなか強い。かなり昔に5年ほどかじっただけなのに、今でも音楽会に行くと耳は低音を拾おうとするし、目もコントラバスに行ってしまう。関係ないけど、「音楽会」って言うと優雅な印象になるのはなぜだろう?

世間では地味と思われがちな低音楽器だけど、中にはこうしてガン見している 熱い視線を送っている人もいるのよ。

この日も舞台上を眺めていて、「あっ」と思った。

まさに、スイス的??コントラバスの弓の構え方…。

フランスではフレンチボウ

ご存知でない人のために一応説明すると、コントラバスの弓にはフレンチボウとジャーマンボウと2種類ある。

前者は形も構え方もチェロの弓に近くて上から構えるスタイル。後者はしっかり握れる形状で、下から構える。

長年住んでいたフランスでは、どのオーケストラでももちろんフレンチボウばかり。ジャーマンボウを見ることは一度もなかった。

まぁ、「フレンチ」ボウだから当然ね。

オーストリアではジャーマンボウ

ドイツではないけれど、ウィーンで見たオーケストラでは全員普通にジャーマンボウ。まぁ、そうだろうね…とこちらも納得。と同時に、個人的にはこちらのほうがなじむ。

日本も、ほとんどがジャーマンボウ。フランス等に音楽留学した人でフレンチボウ奏者もたまにいるね、くらいの感じなのかな?

私自身ももれなくジャーマンボウで習ったから、この方がおなじみなのですよ。

では、その間にあるスイス特にフリブールではどうなる?

スイスの中でも特に独仏バイリンガル都市フリブールでは「混在」していた。ひとつのオーケストラで混ざってるの、たぶん初めて見た。

これ、フリブールだから?スイスだから?

気になったのでスイスのあちこちのオーケストラの動画を見てみました。するとチューリッヒなどドイツ語圏では(たまに混ざっている場合もあるけれど)ほぼジャーマンが主流、フランス語圏に行くと、フレンチ率高め。こんなにカジュアルに混ざるというスイスならではの現象が !! スイス全体では、ジャーマン式の奏者の方が多そうな印象ですね。

ちょっとしたことなんだけど、オーケストラ現場にもスイスの混在文化が現れていて興味深い。

スイスのオーケストラを見る機会があったら、コントラバスにちょっと目を向けてみると、地味にスイスっぽさを楽しめるかも。

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