
スイスの都市部の駅構内をスキーブーツで闊歩する人々を見てびっくりしたことがある。
ヘルメットかぶってスキー板を担いで、スキー場に着いたらそのまま滑り出しそう。すごい。やる気満々だ !!
フリブール駅からスキー場へ行く路線バスの乗り場もそんな感じ。スキー場のシャトルバス乗り場かな?
フランスで見ていたスキーの風景とは少し違って新鮮だった。
フランスでは、スキーは数日から1週間程度滞在して楽しむ「バカンス」の様相が強い。少し特別なイベントのような存在。一方スイスでは日帰りや週末旅行で気軽に滑りに行く人が多い。同じスキーでも楽しみ方が異なるように感じる。
実際にフランスとスイスのスキーシーズンを経験して、同じ山脈の両斜面でのスキー文化の違いに気がついた。
今日はそんな違いについて実体験をもとにまとめてみよう。
フランスは “バカンス”、スイスは “日常”
フランスにいた頃はスキーはバカンスとして楽しむものだった。数日から一週間程度滞在してまとまった時間をかけて滑るのが一般的。スキー場もその前提で作られているため、とても大規模なところが多い。
一方でスイスに来てからは日帰りや1~2泊程度で気軽にスキーに行くことが多い。私自身も今年は大小含め10か所近いスキー場に出没した。用具のレンタルは11月頃から4月までのシーズン貸しが人気。
スキー場も週末で十分楽しめるサイズの所が多い。一シーズンで色々なところに行ける等、長期滞在を前提としたフランスとはまた違った魅力がある。
昼頃にはもう帰ってくる人もいる。そんな「今からプールでひと泳ぎして来る」みたいなノリでスキーに行っちゃうのね。半日リフト券は、「午前中の半日」で使うって発想?
「せっかく来たからたくさん滑る」フランスに対し「行けるからちょっと滑る」スイス。
この差はどこから?
ひとつは地理的な理由。フランスではスキー場はアルプスやピレネーに偏っている。だから近くに住んでいる人以外は、明日ちょっとスキーに…というわけにいかない。
もうひとつは、国主導のバカンス文化。フランスでは戦後「有給休暇」が普及し、1960~1970年代頃に国主導で冬のバカンス用スキーリゾート開発を大規模に行った。こうして、海に行く夏のバカンスに対し、雪山に行く冬のバカンスのスタイルが定着した。
このような背景から、ゆっくり時間をかけてスキーを満喫する前提のスキー場が多い。
- 1970年代に開発された典型的なスキーリゾートの例。見た目は何となく昭和感が漂うけど利便性は抜群 → 【フランス】ラ・プラーニュ La Plagne でスキーをしたよ
一方スイスは国全体が山に囲まれており都市から山へのアクセスが比較的簡単。もちろん長期で行く場合もあるし、大きなスキー場も無くはない。でも、アクセスのよさゆえに気軽にスキーを楽しむ人が多い。そして、ホテルなどがある場所は、もともと人々が暮らす普通の「村」である。ホテルの外観も箱型の建物ではなく「大きな山小屋」スタイルが主流。
滞在スタイルの違い
フランスのように1週間など雪山に滞在すると、たいてい一日くらいは悪天候でスキーができない日があったりする。それに毎日スキーをし続ける人ばかりではない。だから宿泊エリアには飲食店はもちろん、映画館やスパ、商店街など、スキー以外の暇つぶし用の施設もあったりする。
多くの場合、家族や友人どうしでアパートを借りて滞在。が、スキー用のアパートはなぜかコンパクトなことが多い。みんなでぎゅっとひしめき合って過ごして自炊もして、どこか合宿っぽい雰囲気。
我が家はわりと毎日めいっぱい滑り続ける上に、昼休みは15分くらいでパンをほおばるプログラム。悪条件にも慣れるために変な天気でも連れ出されることもあり、まさにスキー強化合宿。私にとっては、バカンスというかトレーニングだ。ていうか、3日目くらいから疲れて来るんだよね…。
スイスでは宿泊してもせいぜい1~2泊だからスパ付きホテルでゆっくりという贅沢な過ごし方もしやすい。日本の、「スキー+温泉」みたいな感じかな?
日本人目線では、フランス型のほうが新鮮かも。
ゲレンデの印象
フランスは宿泊エリアこそ人工的だけれど、ゲレンデに出ると全体的に自然に近くて個性が強い雰囲気。「ほら、アルプスの大自然だよ。やってみな」といったイメージ。同じ難易度表示でもフランスとスイスで少し印象が異なる。スイスのほうは全体的に整備しっかりで、くせが少なくて滑りやすい)。「山、きれいに整えといたよ。気をつけて楽しんでね」ってイメージ?
もちろん、フランスにもくせが少ないコースもたくさんあるし、スイスにもエグいコースはあると思うけれど、全体的な印象ね。
フランスのスキー場事情に詳しい夫も「フランスの方が難しめな気がする」と言っていたので、多くの人が感じる違いなのかもしれない。
私も今年スイスで黒コースデビューしたものの、フランスではまだだから、滑るときは覚悟しておいた方が良いやつだね…。
また、よくある「ヨーロッパの最難関コース〇選」などに入っているのもフランスのコースが多い。やはりフレンチアルプスはワイルド気味(スイスにも有名な難関コースはあるよ)?
- 最難関コースのフランス代表例があるスキー場: 【フランス】アルプ・デュエズ (Alpe d’Huez)でスキーをしたよ
- 最難関コースのスイス代表例があるスキー場: 【フランス&スイス】Avoriaz と Portes du Soleil で越境スキー
スキーの合間の休憩場所は?
それから、フランスでもスイスでもゲレンデに飲食店はあるけれど、どちらかというとスイスの方が、規模のわりに山頂などあちこちにバーやお手洗いなどの設備が充実している印象。
もっともここに書いた傾向の違いはスキーだけではない。夏山をEMTBで散策していても同様に見られる。そもそも山レジャーの文化が異なる模様。
どちらが良いかは人それぞれ
少しワイルドな環境で個性あるコースに挑むのが好きな人もいれば、きれいに整った安心感のあるコースを好む人もいる。また、まとまった日数で特別感のあるスキーを楽しむのもわくわくするし、日常の中で気軽に楽しむのも快適。
どちらが良いというわけでもないので、旅の目的や気分で行き先を選ぶのも楽しいと思う。
おまけ: 冬季オリンピックで、スイスがスキーで強い件
スイスではスキーが身近。マジックパスという、加盟スキー場で使える年間パス(←夏山でも使える)もメジャーで、小さなスキー場で見かける地元のちびっ子たちがやたらと上手。スイススタイルの方が上達は早いかもね。
冬季オリンピックでもスキーだけ異様に強いし、本当にスキーの国なんだなと実感する(逆にフィギュアスケートとか、微妙にイメージ違う?)。
フレンチアルプスとスイスアルプス、行き先を決めるときに参考にしてみてね。
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