さて、2日目はユネスコの世界遺産になっている木造の教会群をめぐりながらマラムレシュ地方 (Maramures) の東の端のヴィシェウ・デ・スス (Vişeu de Sus) まで向かいます。

石の文化でおなじみのヨーロッパですが、ここマラムレシュ地方では木の文化が発達しています。
世界遺産になっている木造教会郡は17-18世紀に建立されたものなのだそうですが、保存状態のよさに感心します。木の尖塔が特徴です。中に入れないところも多いのですがインターホンを鳴らすと鍵を開けに来てくれる教会もあります。世界遺産なのに地図にも明記されず、現地でも農道みたいなところの曲がり角に「世界遺産」と書かれた標識がひっそり立っているだけという地味さが印象的でした。世界遺産もいろいろ見た気がするけれど、自分たち以外に観光客がいないのは初めてです。

周辺の村
さらにこの辺りでは教会を木で造るくらいなので教会以外の物も木で造られており、手の込んだ彫刻入りの木の門構えの家屋も多く見られますのでお見逃しなく。

田園地帯では干し草の堆積があちこちに見られます。また、荷馬車が干し草をもりもりに積んで更にその上に農夫が乗っかっているありさまや農具を担いで帰途につく夫婦など、ミレーあたりの絵にありそうな光景が見られ、タイムスリップした気分になれます。荷馬車の廃止でマラムレシュでもそろそろこの光景も見られなくなるでしょうね。

タイムスリップした光景といえども「近代化から取り残されて過疎化した寒村」というさびしげな感じでもない点が、興味深いところです。通りでは子供たちが遊び家の前のベンチにおばあさんが座り、家の中からは、文句をたれる妻と言い訳をする夫のバトルがギャーギャーと聞こえ(内容は分らないけど、雰囲気はそんな感じ)、庭では鶏がコッケコッコォォーー・・・と、なにやらにぎやかなのです。

若者の中にはブカレストやクルージュ・ナポカあたりの大学へ進学したりして村を離れる人もいるのでしょうが、古い家もあれば建築中の家もあり、老若男女と動物たちでどちらかというと生き生きした印象を受けました。また、フランスの古い村はだいたい城壁に囲まれた中に細い通りがめぐっていたりするのですが、ここでは大通りに沿って延々家が並んでおり、「車でずい分走った気がするけど、まだ同じ村の中だったのね」ということが何回もありました。

驚いたことに教会(木造教会というわけではなく、教会一般)も、今も増殖中です。古い教会もあるのですが、似たようなスタイルで妙に新しい教会も建っていたりするのが興味深いところです。いったい村に何軒必要なんだか・・・?
2300年くらいに「築300年の教会」としてありがたがられるのかもしれませんね。

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