アルプスの山に行くと特に寒い季節にはチーズフォンデュを見かけることが多い。レストランに入るとぷーんと漂うチーズ臭。
スイスでおなじみのチーズフォンデュだけれど、フランスのサヴォワ地方の郷土料理でもある。同じ山脈の両側なんだから似たようなものを食べていても不思議ではない。
それでも、スイスフォンデュとサヴォワフォンデュとでは食べるときの雰囲気や味などが違っていてそれぞれに魅力がある。今日はその違いを検証してみよう。
サヴォワフォンデュ
雪山の夜にみんなで囲む料理
フランスのサヴォワのチーズフォンデュは個人的には「冬の雪山の夜」のイメージ。スキーの後お腹が空いたところで、みんなでテーブルを囲んで食べるような少し特別な料理。「サヴォワフォンデュ」を想像するとき、チーズ鍋の背景に山小屋の木の壁や暖かい色の照明がセットで現れるイメージ。
夜のホームパーティのような雰囲気があって、冬のバカンスやイベントの一部のように感じる。
サヴォワフォンデュってどんな感じ?
使われるチーズは、コンテやボーフォール、エメンタールなど。だいたい3種混合。そこにワインも加えてしっかりとしたコクがある。
パンをチーズに浸してワインとともに楽しむ。
濃厚な味わいで雪山で過ごした一日の終わりの空腹をしっかりと満たしてくれる。お腹がいっぱいになるところや一晩中のどが渇くところまで含めて特別感。
そういえば昔、サヴォワフォンデュについても別の記事に書いたので、こちらもどうぞ → Fondue Savoyarde ~サヴォワ名物チーズフォンデュの作り方
スイスフォンデュ
山の日常に近い料理
一方でスイスのフォンデュはもう少し日常に近い料理のように感じる。
もちろん冬にもよく食べられるし、みんなで囲む料理なのは同じ。でも、わりと年じゅうフォンデュを食べている。夕方にバーで飲みながら「おなかすいたね。ラーメンでも食べに行く?」みたいなノリで、フォンデュを食べに行くことも。そして、夏の屋外でフォンデュを食べたりする。夏でも夜は涼しいことが多いので、夏フォンデュも意外と悪くない。
実際にハイキングのお供にピクニック用フォンデュセットも存在する。冬の特別料理というより山の日常の延長にある料理という印象。
スイスフォンデュってどんな感じ?
使われるチーズの代表例はグリュイエール (Gruyère) やフリブールヴァシュラン (Vacherin Fribourgeois)。特にこの2種を同量ずつ混ぜたモワティエ・モワティエ (Moitié-Moitié) が有名。
チーズフォンデュはドイツ語圏にもある(個性も違う)けれど、どちらかというとフランス語圏の料理(フォンデュって名前からしてフランス語だし…)で、フリブールはスイスフォンデュで使うチーズの主要生産地でもあるのですよ。
そしてフリブール系のフォンデュは、サヴォワフォンデュと比べて軽めでクリーミーな滑らかさがある。
パンの他に一口サイズの茹でジャガイモも添えられる。チーズに浸した後に自分のお皿の上で胡椒をつけて食べるとおいしい。このチーズの軽い質感や水分を含んだジャガイモや胡椒のおかげか、最後まで食べやすい。
また、外食全体の価格が高めのスイスの中で、フォンデュは比較的リーズナブルな価格で食べられることが多い。そんな点にも日常食としての位置づけが感じられる。
同じアルプスでも少し違う雰囲気
雪山で遊んだ後にみんなで囲む夜の料理「サヴォワフォンデュ」と、雪が無い昼の山でも食べる「スイスフォンデュ」。同じような料理でも国が変わると想像する景色まで少し違って見えるのが面白い。
どちらも違った味わいで魅力的だけれど、私には軽めのフリブール系のスイスフォンデュが食べやすい気がする。








