フランス(だけではないけど)に到着して最初の大仕事は住居の確保です。旅人状態から早く居住者らしい生活環境に落ち着きたいですよね?ところが、今後の生活の快適さを左右する重要な要素なのに、一連の作業を到着早々まだ勝手がわからない状態で行わないといけません。

そんなみなさまにこの一大作業のお手伝いをさせていただいているわけですが、アパートの入居時と退去時に行われる点検(Etat des Lieux エタデリュー)の数々にこれまで立ち会ったり、自ら行ったりしている観点から、入居時のエタデリューの重要性について今日は訴えたいと思います。

どのように行われるの?

不動産屋や家主が行う場合もありますが、最近は(?)客観性を保つために専門の業者が行うケースが多いです。だいたい下記のようなものが点検項目です。

  • かぎ類の種類と個数、インターフォンや鍵の動作確認、郵便受けの状態
  • 電気、ガス、水道等のメーターの数値
  • 各部屋、スペースごとに、天井、床、壁等の状態(汚れ、傷、ペンキの剥がれ等)
  • 窓、シャッター、扉等の状態と動作確認
  • 水回り(水の詰まりや水漏れが無いか等)
  • ガレージや地下の物置がある場合は、それらの状態と扉等の動作確認

家具付きの物件を借りた場合はこのほかに、各家具の状態、備品の種類や個数、(できる場合は)備品の家電の動作確認があります。スプーンの本数とかまで数えたりするので、家具付き物件の場合はちょっと時間がかかることが多いです。

なので、はやく鍵をもらって落ち着きたい気持ちでいっぱいになるかと思いますが、退去時にいやな思いをしないためにも、ここは気を抜かずに臨みましょう。退去時にも基本的には同じ項目をチェックされ、入居時の点検レポートに書いていないけれど退去時に指摘された不備が、あなたの責任項目(敷金から修理・交換費用を引かれる項目)になるからです。

自分の目で一緒にチェック

終了後にサインをするからにはきちんと納得した内容に対してサインできるよう、担当者と一緒に自分の目でも確認するようにしましょう。そして、もし担当者が見落としているけれど気がついた点などがあったらその場でレポートに追加してもらうよう頼みましょう。

点検レポートは、以前はその場で紙に記入し終了後に「入居者控え」をもらうことが多かったですが、最近はタブレットで入力していって終了後に画面上で確認&サインし、翌日あたりにPDFで提供される場合が多いです。

入居後10日~2週間は重要な期間です

無事エタデリューが終了し、鍵をもらって暮らし始めた。ところが…

  • エタデリューの際に気がつかなかったけれど住み始めたら不具合があった!!
  • 実際には不備があるのに、点検レポートをよく見たら不備がないことになってる~。
  • 家具付き物件などで時間節約のために前もってある程度のチェックが事前にされており、ざっと一緒に見る程度だった。
  • 家電などの動作確認が無かった。

どうしよう??手抜き点検??

手抜きかもしれないけど、点検業者も特に年度末、年度初めの引越しシーズンは早朝から夜まで激務らしいので、急いでいたりうっかり見落としたりすることもありますって。

でも、ここはご心配なく。エタデリューの日から2週間(10営業日?)程度の猶予期間があるので、その間に自分で住居内を再度チェックして不備があったり、点検レポート内に現実と異なる記載があったりしたら、不動産屋(家主)にメール等、形に残る手段で連絡するようにしましょう。フォームは自由ですが、写真など添付しておくと良いでしょう。

また、この期間中にすべてのコンセントにきちんと電気が通っているかも確認しましょう。

夏に入居した場合暖房器具のチェックはしない(できない)場合も多いので、暖房の季節が始まったら早々にチェックして不具合があれば不動産屋に連絡しましょう。

水回りや電気系統など修理が必要な部分は原則1か月以内に、修理が行われることになっています。”原則”…なのがフランス的なんですけどね。

大事なことなのでくりかえしますよ~

退去時にアパートを入居時と同じ状態(以上?)にして鍵を返すのが原則で、入居時と退去時に同じ点検が行われ、書面(データ)に残します。レポート上、入居時には無く退去時に記載された不備はあなたの責任とみなされます。

ときどき退去時や退去間際になって、破損箇所について「これは入居時から壊れていたんだけど…」などというケースがありますが、入居時に壊れていた(けれど入居時の点検レポートに記載がない)ものは放置せず、退去時ではなく入居後すぐに連絡しましょう。

退去時の点検で指摘されて「これは実は入居時から…」と言ったところで、入居時のレポートに何も書かれていなければ、「あ、初めから壊れていたけれど、単に記入漏れだったのですね~」と納得してもらうのは、まず難しいでしょう。

点検に来た人が無能だとしても、自分の利益を自分で守ろうとしなかったほうにも責任があるのですよ…。

特に、家具付き物件(←チェック項目が多い)とか、初賃貸または改装したての物件(←傷むと目立つ)とか、家主が直接点検する物件(←根拠はないんだけど、全体的になんとなくチェックが厳しい印象?自分の所有物だから当然かもしれないけど…)は気をつけたほうが良いかも。

最後にちょっとだけ宣伝…

「リヨン滞在サポートサービス」では、住居関連サービスの一環で、入居時や退去時のエタデリューの立ち合い、通訳を行っています。住居探しからセットでのサービスだけでなく、ご自身で見つけられたアパートの入居時、退去時のエタデリューの立ち合いのみをご依頼いただくことも可能です。

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