パリで働いていた頃は、今ではおなじみのサヴォワの家にクリスマスとその他年に1~2回行っていた。

大荷物を抱え、特にクリスマスともなるとそこに大量のプレゼントが入った袋も加わり、行き先は当時の私にとっては別世界の、山景色の美しいブドウ畑に囲まれた田舎。特別感いっぱいのイベントだった。1回の滞在日数も当然今より長かったし。

出発はたいてい金曜日の18時45分だか50分頃のシャンベリー方面行のTGVなので、職場から直行で18時30分にGare de Lyon の駅構内で集合し、売店で雑誌や飲み物など買ってからTGVに乗り込むのだった。

金曜日は仕事が18時までで駅まではメトロで2駅だったから、定時に仕事を終えて準備して職場を出れば、まあ間に合う距離。遅くても18時15分くらいまでに出れば大丈夫…なんだけど、ただでさえ頻繁に電話が鳴る職場で、金曜日の夕方というのは、急に17時55分頃「明日納車があるからいますぐ自動車保険に入りたい」などという、断りにくい駆け込みの依頼があったりするから、サヴォワへ発つ金曜は17時台になると、ドキドキしながら何事もなく終業時間を迎えられるよう祈ったりしたものだ。

久しぶりにGare de Lyonで18時30分を指す時計を見たら、当時のサヴォワ行きのワクワク感と、間に合うかドキドキしながら駅に到着した時の安堵感とが、パリの思い出としてよみがえったのでした。

しかも Gare de Lyon の「私、いろんな人を迎えたり見送ったりしてきましたの」といわんばかりの風格、出発やら別れやら再会やらの様々なロマンとドラマを感じさせてくれるよね。

余談だけど、パリの「Gare de Lyon(リヨン駅)」 は、当初リヨン方面に行く汽車の停車場だったからこういう名前がついていて、肝心のリヨンには、リヨン駅というものは無くて、Lyon-Part Dieu とか Lyon-Perracheとか、後ろに別の名前がついていたりします。なんて、紛らわしい…。

今は家からサヴォワまで車で1時間半。乗り遅れる心配もなく仕事の後準備ができたら適当に出発するのでサヴォワ行きもお手軽に。相変わらず素敵な場所だし良い気分転換になるけど、あの特別感がなくなったのはちょっと寂しくもあるかもね。

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